(一社)港湾技術コンサルタンツ協会(港コン協:柴木秀之会長、会員数:40社)は、8月26日に、港湾空港総合技術センター(SCOPE)の大野正人専務理事を講師に迎え、「SCOPEのインターンシップに関する講演会」を開催しました。
SCOPEにおけるインターンシップ活動においては、港湾・海岸整備の意義や技術の紹介を通じて港湾・海岸関連業務の魅力を広めることに努めており、その内容は会員各社の若手職員等にとっても有意義であることから、今回の講演会を開催することとしたものです。
講演会は港コン協の岸本高彦企画委員長の司会で行われました。会場参加者約20名、Web 聴講者約80名、合計で約100名の参加がありました。
まず第1部として「港湾整備の意義と考え方」についての講演が行われた。大野専務理事は30年以上にわたる運輸省、国土交通省での業務の中で実際に自分が経験したことや考えたこと、感じたことにも触れながら、公共事業に対する批判と誤解、港湾整備の意義・役割、港湾に対する要請の変遷、計画づくりの背景となる公共性、事業評価、国と地方(港湾管理者)、といった幅広い観点からの説明が行われました。
公共事業に対する無駄なバラマキ事業といった批判に対しては第三者による事業評価の実施と評価結果の公表、事業実施に関しては入札監視委員会により公正さをチェックし公表していることが説明されるとともに、港湾の役割の変遷については、高度成長期における企業誘致・企業活動促進から再開発・都市ニーズの受け入れ、環境改善や廃棄物対策、さらにはカーボンニュートラルポートまで具体的な事例に触れつつ講演が行われました。
第2部では臨海部の開発は波との戦いであり、失敗の繰り返しと経験の蓄積を通じて波を知り、波から守る技術を高めていくことが港湾整備の基礎となるとの観点から、臨海部の開発技術(波と構造物)と題して、波の捉え方、潮位の考え方、防波堤に働く波力の算定方法、防波堤の設計方法等について、過去の被災事例や自身が設計に携わった時の経験にも触れながら説明が行われました。
防波堤の設計に関しては、日本海側と太平洋側との違い、水深と波の変形、波力に影響する要因と各種算定方法、安全率による設計と性能設計、防波堤の破壊モード等について、図表や計算式も交えながら幅広い観点から説明が行われました。
計画と技術の両面からの講演であり、また各説明の最後には演習問題が出されるなど、参加者にとっては実践的で有意義な講演になりました。
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| 講師のSCOPE大野専務理事 | |
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| 講演会会場の様子 | |
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